海外販売の市場調査では、市場規模だけでなく、商品URL、SKU、価格・粗利、重量・寸法、供給量、成分・表示、競合、物流、返品体制を国別に整理します。未確定項目は、前提と確認先を明記すれば、問い合わせ時の検証を進めやすくなります。

海外販売の市場調査で最初にそろえる情報は何ですか

海外販売の問い合わせ前に整理したいのは、次の7領域です。

領域確認する情報
市場関心国、想定顧客、用途、価格帯、販売チャネル、競合・代替品
商品商品URL、カテゴリ、SKU、色・サイズ・容量、素材、成分、原産国
価格国内小売価格、供給価格、希望海外価格、粗利条件、為替前提
物流重量、寸法、梱包単位、保管条件、危険物・温度管理の有無
供給月間供給量、最低発注数、補充期間、欠品時の対応
規制・権利商品分類、表示、認証資料、商標、画像・キャラクター権利
運営販売モデル、返品、不良品、顧客対応、商品情報の更新担当

すべてを確定してから相談する必要はありません。ただし、「未定」「確認中」「この条件なら供給可能」と現状を分けて記載すると、何を追加確認すべきか判断しやすくなります。

JETROの2018年度調査では、輸出企業が有効だった施策として、現地パートナーの確保を61.7%、現地市場の調査を57.9%が挙げています。市場データを集めるだけでなく、商品を扱うパートナーが判断できる形に整えることが重要です。(JETRO)

商品URL、価格、供給条件を問い合わせ前に整理している写真
記事内の確認項目は、商品情報、販売国、運用条件を分けて整理するためのものです。

なぜ市場規模だけでは海外販売の判断ができないのですか

市場規模が大きくても、自社の商品が販売に向いているとは限りません。海外販売では、少なくとも4つの適合性を分けて考えます。

市場適合

  • 誰が買うのか
  • どのような場面で使うのか
  • どの価格帯が比較対象になるのか
  • 現地で代替される商品は何か

商品適合

  • サイズ、色、香り、容量が現地の需要に合うか
  • 説明しなくても価値が伝わるか
  • 日本らしさ以外に選ばれる理由があるか
  • 商品画像や説明文を現地向けに変更できるか

運用適合

  • 継続して供給できるか
  • 1注文当たりの重量と送料が過大にならないか
  • 不良品や返品に対応できるか
  • 商品情報と在庫を更新できるか

規制・権利適合

  • 商品分類や成分に追加確認が必要か
  • 現地語表示や証明書が必要か
  • ブランド名や画像を対象国で使えるか
  • 食品、化粧品、サプリメント、医療的表現を含むか

日本・東京商工会議所の公式ガイドも、越境ECを「開店」「集客」「運営」に分け、決済、関税、規制、物流まで確認対象にしています。販売ページを作ることだけが海外販売の準備ではありません。(Tokyo Chamber of Commerce and Industry)

海外販売の市場調査では、どの国から確認するべきですか

Japan Boxでは、現在はカザフスタンを最重点の検証市場として扱い、ウズベキスタンとキルギスは公開データと運用条件を確認しながら国ごとに検討します。

中央アジアを一つの市場として扱わないことが重要です。カザフスタンとキルギスはユーラシア経済連合の加盟国ですが、ウズベキスタンはオブザーバーであり、意思決定に参加する加盟国ではありません。制度、表示、認証、物流、決済、言語を同一前提にしないようにします。(Eurasian Economic Commission)

Japan Boxでの位置付け最初に確認すること
カザフスタン現在の最重点検証市場想定価格、主要都市、競合商品、物流、EAEU関連の技術規則
ウズベキスタン公開データと運用条件を確認する候補独自の輸入手続、表示、決済、現地語対応、販売チャネル
キルギス公開データと運用条件を確認する候補市場規模だけでなく、物流費、供給単位、都市別需要、EAEU関連手続

カザフスタンでは政府のTrade Portalと財務省のState Revenue Committee、ウズベキスタンではUzbekistan Trade Info、キルギスではSingle Windowが公式確認先になります。実際の手続きは、商品分類と取引形態を指定して確認します。(Prime Minister of Kazakhstan)

商品URLとカタログには何を記載すればよいですか

最初に、代表商品ではなく販売候補のSKU単位で整理します。

例えば、同じTシャツでも、色が2種類、サイズが3種類なら6SKUです。価格、在庫、重量、画像、供給量が異なる場合は、別のSKUとして扱います。

商品ごとにそろえたい情報

  • 商品URL
  • ブランド名
  • 正式な商品名
  • 商品カテゴリ
  • SKUコード
  • 色、サイズ、容量、香り
  • 素材または全成分
  • 使用方法
  • 原産国・製造国
  • 商品単体の重量と寸法
  • 梱包後の重量と寸法
  • ケース入数
  • 使用期限、賞味期限
  • 保管温度
  • 白背景の商品画像
  • 利用場面が分かる画像
  • 商品説明文
  • 注意事項
  • JANコードなど既存の商品識別情報
  • 画像・説明文を海外販促に使えるか

JETROの米国向け販売実務マニュアルでは、ラインシートにSKU、商品画像、商品名、卸価格、希望小売価格、発注単位などを記載する例が示されています。米国固有の規制ではありませんが、海外販売の問い合わせ資料を作る際の形式として参考になります。(JETRO)

商品URLだけでも最初の確認はできますが、ページに重量、寸法、成分、供給量、権利条件がない場合は追加情報が必要になります。

海外販売の価格と粗利はどう整理しますか

海外向け価格は、国内の小売価格や卸価格をそのまま換算するだけでは決まりません。

JETROは、輸出価格を考える際の項目として、最低取引数、決済条件、梱包条件、インコタームズ、決済通貨と交換レートを挙げています。(JETRO)

問い合わせ前には、次の数字を分けて記録します。

価格項目記入内容
国内小売価格税込・税抜を明記
国内卸価格適用条件と最低数量
商品原価開示できる範囲。非開示の場合は許容供給価格を記載
希望海外小売価格必須ではないが、ブランド方針があれば記載
許容価格帯最低価格、標準価格、上限の考え方
粗利条件金額または率の社内下限。外部公開用ではなく検討用
国内送料メーカーから日本側拠点まで
国際送料の前提重量、寸法、箱数、発送単位
決済・為替基準通貨、計算日、価格の見直し条件
返品・破損負担どのケースを誰が負担するか
最低発注数個数、ケース数、金額のいずれか
供給可能量初回、月間、追加生産時を分ける

Japan Boxの費用は、商品カテゴリ、価格帯、粗利、物流条件、支援範囲によって変わるため、公開記事で一律の手数料や固定率は示しません。

物流・返品・顧客対応では何を確認しますか

物流では、商品単体の重さよりも最終的に発送する状態の重量と寸法が重要です。

次の項目を確認します。

  • 外箱を含む重量
  • 縦、横、高さ
  • 割れ物、液体、粉末、エアゾール、電池の有無
  • 高温・低温を避ける必要があるか
  • 輸送中に内容物が漏れる可能性
  • 複数商品を同梱できるか
  • ケースを分解して販売できるか
  • 日本国内の納品先
  • 補充までの期間
  • 一時的な欠品への対応
  • 注文後のキャンセル可否
  • 開封後の返品可否
  • 不良品確認に必要な写真や動画
  • 回収が必要になった場合の連絡体制

重量や寸法が未確定の場合は、代表サンプルを実測するのが確実です。衣類のように圧縮できる商品と、割れ物や化粧箱を保護する商品では、同じ商品重量でも必要な梱包が異なります。

規制・表示・権利はどこまで調べればよいですか

問い合わせ前の段階では、最終的な適合判断まで行うのではなく、追加確認が必要な理由と確認先を特定することを目標にします。

HSコードと商品用途

HSコードは、国際貿易における品目分類に使われます。日本からの輸出申告でも、品名、数量、価格などの正確な情報が基礎になります。候補コードを調べることはできますが、最終分類や輸入国側の扱いは、税関、通関業者、対象国の公式窓口で確認します。(Japan Customs)

化粧品、サプリメント、食品

EAEUには香水・化粧品の安全技術規則や食品表示の技術規則があります。サプリメントの識別表示については、加盟国が導入日や段階を個別に決められる制度もあるため、「EAEUで共通だから同じ運用」とは判断できません。(Eurasian Economic Commission)

次の情報を先に準備します。

  • 全成分表
  • 配合量の開示可否
  • 用途と使用方法
  • 対象年齢
  • アレルゲン
  • 使用期限、賞味期限
  • 保存方法
  • 日本国内での分類
  • 広告やパッケージで使用している効能表現
  • 製造者情報
  • 既存の試験、認証、届出資料

商標、画像、キャラクター権利

日本の商標登録は外国で自動的に効力を持ちません。対象国でブランド名やロゴを使用する場合は、権利状況を国ごとに確認します。(Japan Patent Office)

また、正規に仕入れた商品であっても、商品画像、モデル画像、キャラクター画像、説明文を海外広告に転用できるとは限りません。販売権、画像利用権、翻訳・改変権を分けて確認します。

この記事は、中央アジア販売を検討するための一般情報です。最終的な販売可否、規制適合、費用、配送条件、売上見込みは、公式情報、専門家、Japan Boxとの個別確認が必要です。

市場調査の結果を販売可能性の検証に変える方法

調査結果は、長いレポートにするよりも、仮説と次の確認方法を一表にすると実務で使いやすくなります。

項目記入例
仮説都市部の女性が、乾燥対策用の日本製スキンケアとして関心を持つ
根拠類似商品、現地販売価格、検索・SNS反応、販売店ヒアリング
未確認点成分適合、現地語表示、最終価格、季節性
確認方法商品情報レビュー、競合価格調査、小規模な需要確認
継続条件想定価格帯と物流条件が成立し、必要資料を準備できる
見送り条件必要な表示変更ができない、供給量が確保できない、物流費が過大

最終的には、SKUごとに次の3つへ分類します。

  • 確認を進められる
  • 追加情報または専門確認が必要
  • 現時点では見送る

「すべての商品を販売する」ことを目標にするのではなく、確認可能なSKUから検証する方が、社内負担と物流上のリスクを抑えやすくなります。

Japan Boxへの問い合わせ前チェックリスト

市場

  • [ ] 関心国を記載した
  • [ ] 国の優先順位を決めた
  • [ ] 想定顧客を記載した
  • [ ] 現地の競合・代替商品を3〜10件調べた
  • [ ] 比較される価格帯を記録した
  • [ ] 想定販売チャネルを記載した

商品

  • [ ] 商品URLまたはカタログがある
  • [ ] 最初に確認したいSKUを選んだ
  • [ ] 色、サイズ、容量をSKU別に分けた
  • [ ] 素材または成分を用意した
  • [ ] 商品と梱包後の重量・寸法を確認した
  • [ ] 画像と説明文の利用権を確認した

価格・供給

  • [ ] 国内価格と供給価格を分けた
  • [ ] 希望海外価格帯を記載した
  • [ ] 許容できる粗利条件を社内で確認した
  • [ ] 最低発注数を記載した
  • [ ] 初回と月間の供給量を記載した
  • [ ] 補充期間と欠品時対応を記載した

物流・運営

  • [ ] 液体、粉末、電池、温度管理の有無を記載した
  • [ ] 返品・不良品方針を確認した
  • [ ] 商品情報の更新担当を決めた
  • [ ] 問い合わせ対応に使える言語を記載した

規制・権利

  • [ ] 追加確認が必要なカテゴリか確認した
  • [ ] 成分・仕様・認証資料の有無を記載した
  • [ ] 医療的・健康的な表現を抽出した
  • [ ] 商標、キャラクター、画像権利を確認した
  • [ ] 不明点と確認先を一覧にした

Japan Boxの販売支援には、商品選定、販売設計、ローカライズ、価格検討、需要創出、顧客対応まで深く支援するManaged Partnerと、ブランド側が商品データ、在庫、価格、掲載運用を一定程度管理するMarketplace Sellerがあります。

項目Managed PartnerMarketplace Seller
向いている企業現地販売設計や運用支援を必要とする自社で商品・在庫・価格情報を管理しやすい
ブランド側の主な準備商品・供給・価格・ブランド資料商品データ、在庫、価格、更新体制
Japan Boxの関与商品選定から顧客対応まで比較的深い掲載・販売基盤を中心に役割分担
最初の手続き商品・事業情報レビュー商品・事業情報レビュー
選べない場合「未定」で相談可能「未定」で相談可能

商品URL、価格帯、SKU、供給量まで整理できたら、商品・事業情報フォームからお送りください。販売モデルが決まっていない場合は「未定」と記載できます。

海外販売の市場調査に関するよくある質問

商品URLだけでも問い合わせできますか

最初の確認は可能です。ただし、URLに重量、寸法、成分、供給量、価格条件がない場合は、追加資料が必要になります。

すべてのSKUを整理する必要がありますか

最初は、優先度の高い5〜20SKU程度に絞る方法があります。サイズや色で物流・価格・供給条件が異なる場合は、SKUを分けてください。

原価を開示しなければいけませんか

必須とは限りません。開示できない場合は、供給可能価格、希望小売価格、許容できる条件を提示すると価格検討を進めやすくなります。

市場規模が大きい国から始めるべきですか

市場規模だけでは決められません。商品適性、価格、物流、規制、供給体制、顧客対応を合わせて判断します。

カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスを同時に検討できますか

候補として比較できますが、制度と運用は国ごとに確認します。Japan Boxでは現在、カザフスタンを最重点検証市場として扱っています。

化粧品やサプリメントも問い合わせできますか

商品情報を送ることはできますが、成分、用途、効能表現、商品分類、表示、登録・適合手続の追加確認が必要になる場合があります。

問い合わせをすれば掲載や販売が決まりますか

決まりません。商品情報をもとに、商品適性、追加確認事項、販売モデル、運用条件を整理します。

費用や手数料は事前に分かりますか

一律ではありません。商品カテゴリ、価格帯、粗利、物流条件、支援範囲を確認したうえで個別に検討します。

Managed PartnerとMarketplace Sellerのどちらを選べばよいですか

運用をどこまで自社で担えるかが判断基準です。最初のフォームでは「未定」を選び、商品情報レビュー後に検討できます。

まだ商品情報を送る段階ではない場合はどうすればよいですか

対象国や基本条件を先に確認したい場合は、市場ブリーフから情報収集を始められます。

商品情報の準備状況に合わせて次の行動を選ぶ

まだ対象国や商品候補を絞っている段階では、中央アジア市場ブリーフで、公開データと国別の検証項目をご確認ください。

商品URL、SKU、価格、供給条件がそろった段階で、商品・事業情報レビューへ進むと、より具体的な確認がしやすくなります。